当時三十三才で会社員をしておりました。女性で事務の仕事、内勤仕事にしては珍しく出張があり東京から大阪まで日帰り出張をしていました。季節は夏場で私は夏に弱く暑さが厳しいと、どれだけ涼しいところにいても汗がとまらない体質でそれは自分でもわかっていたのでなるべく夏場は動かないようにしていたのです。
しかし出張となるとそうもいきません。特に大阪と東京ですので暑さが違います。それを往復するのですから暑さに弱く気温の差にも弱いので余計に汗をかいてしまいます。朝はよかったのですが、午後になり暑くなってくるとやはり汗をたくさんかいてしまいます。
出張で風呂にはいっている時間がなかった
本当はお昼にどこかでお風呂に入ったり汗をふくタイミングがあればよかったのですが、それもなく、慌ただしく仕事を終えて新幹線に乗りました。やっと帰ることができる、と汗をかきつつ席に座りました。顔のてかりも気になりましたし、足もしんどくて、普段は絶対に外ではやらないのですが靴を脱いでしまいました。
暑いし蒸れているしずっと立っていたので足も疲れて、むくんでしまっていたので多少でも解放してあげよう、すっきりしようと思ったのです。隣に人が座っていましたのでなるべく気づかれないように靴を脱ぎました。少しして眠くなってしまい、終点の東京まで時間があるので寝ることにしました。
咳払いとともになにやら不穏な空気が
そんなときです。うとうとしていると、咳払いが聞こえました。なんだろうな、誰か風邪でもひいているのだろうか、と思っていました。深い眠りにつこうとすると、また咳払いが聞こえたのです。目をあけて確認すると、その咳払いの主は隣の席の人でした。と思っていると、ちらちらと私の足元を見ています。もしかしてスカートが捲れていてパンツが見えているのか、と思ったのですがそうではありません。
「なんだろう ?」と思いつつ指摘されませんでしたのでそのまま寝ようとしたのですが、自分の足元から何かツンとするような臭いがしてきたのです。ヨッチャンイカというお菓子を知っている方もいらっしゃるでしょうがあんなイカ臭いニオイなのです。なんだこの臭いは!と思い目をあけ、足を動かすと一層イカ臭いニオイの度数が濃くなりました。そうです、自分の足や体から立ち上ってくる臭いだったのです。体臭と足臭です。
あまりの事態に通路で過ごす羽目に
隣の人はこれを指摘したかったのです。しかし私が女性のためそれを直接言えなかったのです。気づいたとたん、自分でもすごく臭くなってしまい、隣の人はもっと臭いんだということも分かってしまいました。あまりに申し訳なかったため、席を立ち、そのまま終点の東京まで通路で過ごしました。今でも自分からあんな臭い臭いがしたなんて信じられませんが、家に帰るまで本当に臭かったです。