37歳でSEをしていた時のことです。所属部署に新入社員の女の子が配属されることになり、私も含めて男だけの職場でしたから、皆大喜びをしていたのです。そしてみんなでその女性社員の到着を待ちました。
可愛らしいお嬢さんといった外見で、内心ガッツポーズをしました。しかも私の隣の席が空いていたので、そこに座ることになったため、同僚の嫉妬の視線が痛いほどでした。新人という事もあって仕事のやり方も分からないですから、自然と私が教育係のような感じになり、忙しい仕事の合間を縫って簡単な仕事を割り振ったり、OJTじみたトレーニングをやったりしていました。
朝はいい匂いだが午後は少々気になる臭いが
最初は若い女の子ということもあって、気分が良かったのですが、何だかだんだん気分が悪くなってきました。というのも彼女、微妙に臭いのです。朝、出社したばかりの時は臭いはなくて、むしろシャンプーというか化粧というか、何かいい匂いがしているのですが、色々仕事を振って忙しくさせていると午後には臭くなってきます。緊張とストレスがかかって汗をかくんでしょうね。
何となくあの子、ちょっと臭くない?という話が同僚の間でも出るようになりました。しかし直接本人に臭いので制汗剤付けるとか対策しなさい、お客様にも会うこともあるだろうからね、社会人としてのエチケットだよ、と言う勇気のある人間はいませんでした。男ならまだしも若い女の子です。下手したらセクハラ、パワハラになってしまうかもしれません。
指導者としての責任を問われるも、苦し紛れに思いついたその方法とは?
しまいにはオマエ隣の席なんだからそれとなく注意するなりしてくれよ、と私が言われだしました。体臭自体は私もちょっと強めなのですが、ミョウバンを配合した腋に直接塗るタイプの制汗剤があって、それを使うと臭わなくなります。これを何とかして彼女に使わせたい。しかしどう考えてもアウトな状況しか想定されません。
苦し紛れに考えたのは、「自分が実際に使っている所を見せる」というものでした。客先に行く前に「さてと」と大きく言うとワイシャツの裾をズボンから出して、制汗剤を中に突っ込んで塗るという行動を大げさにしました。同僚と「おいみんなの前でやるなよ」「いや~これよく効くんですよ。臭わなくなる」みたいな台本通りの掛け合いをして、それからその製品を商品名が見えるようにわざとらしく机の上に置いておきました。
猿芝居が功を奏して本当に良かった !
するとどうでしょう。次の日には彼女の体臭が臭わなくなっていたのです。多分同じ商品を買って朝塗ってきたんでしょうね。そう考えると何ともいじらしい。猿芝居でしたけど、誰も傷つけずに誘導できて良かったです。