職場に臭いを放っている人がいるという経験は、誰もが一度は遭遇しているのではないでしょうか。実は私自身が張本人だったのですが、ある事をきっかけに事態が好転しました。さてそのいきさつとは。
大学受験に失敗し続けて22歳になったばかりのころ、何でもいいので自分で稼いで生計を立てるようにと両親から言われて、新聞配達のアルバイトを始めました。浪人生活を継続したままアルバイトを生活に組み込むのは、心身ともに辛いものがあったと思います。
私が男子高校生だったころの親友からは潔癖症と呼ばれていたのですが、仕事と勉強の両立に疲れて、清潔感ある外見を大切にする心が影を潜めてしまいました。その結果、バイト中と勉強中ともに着用しているジーンズとシャツは1ヶ月に一度位しか洗わなくなったのです。
心身の疲れから、身だしなみも疎かに
皮膚に悪影響があると考えたので、下着だけは毎日洗って綺麗なものを着用していました。冬場は臭いが気にならないのですが、夏は新聞配達でかなりの量の汗をかくのでシャツにはっきりとシミが確認でき悪臭を放っていたと思います。
私は自分自身の臭いを自覚していたのですが、接客業ではないですし所長はパジャマを着たままで朝刊配達の仕事をしているという環境でしたから、身だしなみに関して無頓着になっていたのかもしれません。勉強で疲れていることを言い訳に、臭くても周りが我慢するべきという気持ちになっていたはずです。
指導する立場のはずが一転、三下り半を突き付けられた
受験勉強に本腰を入れるべく、私が担当していた配達部数を減らしてもらったときのことです。私が配達するべきだったエリアは、所長の知り合いの女性が担当することに決まり、原付の乗り方から配達の仕方までを一通り私が指導することになりました。
当時の私より一回り年上に見える女性は、明らかに神経質そうでした。バイクの日常点検を済ませると、持参したアルコールを含んだ除菌ティッシュで両手を丹念に拭きますし、新聞を扱うときは薄いビニール手袋を着用します。もちろん体臭を感じることもなく、臭いを放っている先輩である私のことを当然軽蔑しているだろうと感じていました。
指導し始めて二日目にその女性が出勤してこなくなりました。私の体臭がひどく、改善できるまで指導を受けたくないとのことです。パジャマ姿の所長と悪臭を放つ私は真剣な表情で話し合い、お互いに清潔感を大切にして仕事をすることを約束しました。
私の指導を再び受ける気持ちになってくれた女性社員
女性が出勤拒否した翌日からは、販売店の正社員までもが清潔な格好で仕事するようになり、もちろん私も洗濯したばかりの服で出勤しました。出勤してこなくなった女性社員にもう一度所長から電話をかけてもらい、確認のために勤務先まで来てもらいました。
幸いな事に私の指導を再び受ける気持ちになってくれたので、無事に引き継ぎが完了しました。ちなみに大学受験には再び失敗したので、現在はこの新聞販売店の正社員として雇ってもらっています。